米国けんきゅうにっき 2010年02月
学位取得後、研究者として米国へ。このさきどのようなことが待ち受けているのでしょうか?
 ひょんなコトからワタシのワクチン接種履歴を調べる必要がでてきた。で、調べてみるとジフテリア百日咳破傷風ポリオウイルス、そして日本脳炎はすでに接種している。ちなみにワタシはWHOによる天然痘根絶運動をうけての予防接種廃止によるものなのか(それにしては撲滅宣言は1980年なので、ちょっと早い気もするのだが......)、種痘を受けていない。

 米国では日本脳炎以外の上記を含め、A型およびB型肝炎水疱瘡B型インフルエンザロタウイルス、髄膜炎菌性髄膜炎(Meningococcal Meningitis)、ヒトパピローマウイルス帯状疱疹が公共の機関で接種できるようだ。まあ来週半ばに予防接種センターに予約を入れたので、そのときの様子はまたのちほどね。


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【2010/02/10 19:59】 | 移民ビザ
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 また研究の話題。

 今、論文投稿のための実験準備をしている。そのためにはある青い色のタンパク質が必要なので、先週から精製をしていた。

 このタンパク質もAchromobacter cycloclastesという細菌の遺伝子にコードされているのだが、この細菌から直接精製するのは骨が折れるので、大腸菌発現系を利用している。そういうわけで、先週は亜酸化窒素還元酵素の精製の合間に、大腸菌の培養をしていたわけ。こっからはまた備忘録ね。



 まず大腸菌ということなので、前々回のエントリで触れたFrench Pressではなく、Sonicatorという装置をを用いることで、超音波により細胞壁破砕する。基本的にFrench Pressよりも破砕効率が悪いので時間がかかるが、精神衛生上はるかに安心できる。時間がかかるようならプロテアーゼ阻害剤カクテルを入れるべきなんだろうけど、4℃で作業するから割愛。でもデオキシヌクレアーゼは入れておく。核酸はとっても粘度が高いのだ。

 得られた溶菌液はやはり遠心器を用いて毎分19000回転で30分かけて大まかに不溶成分を分離。上澄み液はたいてい黄色みがかかったものとなる。この上澄みに硫酸アンモニウムを徐々に加えて、不要な成分を沈殿させる(これを硫安沈殿という)。十分に攪拌後、また遠心分離して上澄みを得る。この時点でも色はまだ黄色なのだが、これにフェリシアン化カリウムという酸化剤を加えると、緑色になる(ちなみにフェリシアン化カリウムの溶液は山吹色)。

 この溶液は非常にイオン強度が高い(塩濃度が高い)ので、透析することで塩濃度を下げる。そうじゃないとイオン交換カラムにロードしても、樹脂にタンパク質が吸着せずただちにカラムから流れ出てしまうのだ。目的のタンパク質はpH6.0では正に帯電しているので、SP-Sepharoseという樹脂表面にスルフォプロピル基という負に帯電した官能基を担持させたカラムにロードすることで分離する。このタンパク質の場合、2回、この強陽イオン交換カラムで分離することで高純度のものを得ることができるのだが、さらに分子サイズでよりわけるSuperdex200で分離することで、より高純度のタンパク質を得る。




 さて昨日のことだ。上述の2回目のSP-Sepharoseで青いタンパク質を分取しているときに、チューブがフラスコから外れてしまい、総量の約2/3を失ってしまった。かなりショックだ|||l_| ̄|○l|||


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【2010/02/09 08:04】 | 研究
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 ウシとはいっても”モ~ウ”と鳴くアレではない。

 かつてGatewayというPCメーカーが存在してたのはご存じだろうか?Wikipediaを見ると、"アイオワ州、スーシティ近郊のウェイト家の農場の中に設立された"と書かれている。(余談だがSioux Cityはネイティヴアメリカン、スー族の街という意味だ。ワタシが東海岸からモンタナへの大移動をしたときにSioux Fallsというサウスダコタの街で一泊の宿をとったが、この街とSioux Cityはアイオワ州・ネブラスカ州・サウスダコタ州に跨ったスーシティ4郡から成るSioux City都市圏に属する)近年になってAcerという台湾系のPCメーカーに買収されてしまったが、Acerグループの一ブランドとして現在も残っている。

 さてではなんでそんな話をするのかというと、まあ、まずちょっとガマンして聞いてくれ。このブログでもふれたが、昨年末、迫師走の上旬頃に日本に行く用事ができた。その際に、以前、購入したDellのMini9というネットブックを、持っていくつもりだったのだが、なぜか充電ができなくなる事態に......もう、アレだね。"必要なときにパソコンは壊れる"ってやつ。仕方がないので、ラボに常駐してあるHPのワークステーションを持っていくこととなる。それで、こいつがまた重いんだ、5キロだぜ!?もう日本への往復に漬け物石を抱えて移動するカンジ?とくに今回は、なんだか往路の乗り継ぎがタイトだったらしく、LAに着いたのが成田行き離陸の20分前。もうターミナルをこの漬け物石を抱えながら走りましたよ~。

 今回のコトでわかった。5キロを超える荷物はカラダに毒だと。そこで、まずMini9を修復できるかを試みたのだが、どーもBIOSがオカシイらしい(奇しくもこの症状がでたのはBIOSをアップデートした直後だった)。ネットで転がっている情報を見るとDellのMini9はBIOSによるバッテリー充電不具合が多いらしい。ワタシの場合、さらにたちが悪いのはACアダプターをさしても通電されないらしく、起動すらしなくなったのである。仕方がないのでDellに連絡すると、すでに保証が切れているので有償修理だとか。まあ仕方がないんだけどさぁ、BIOSアップデートしただけで、こんな状態になっちゃうってゆーのはどーなのよ?と思ったり思わなかったり。

 で、考えました。このMini9を修理にだして、200ドルちかくとられるとしよう。(前のエントリにも書いたけど、正直言って、このPC、まったく快適ではないのだよ。もしネットブックを買う予定のヒトがいたら注意してね。Atomプロセッサははっきりいって遅いです。)で、いろいろとネットを眺めたり、BozemanのStaplesとかに見に行ったりして、CULVというカテゴリのノートPCが台頭しつつあることがわかったのだ。ちなみにCULVとは"Consumer Ultra Low Voltage"の略だそうな。確かにこのクラスのノートPCはネットブックに課せられた解像度の制限(1024x600 or 576)がないため、まず画面が見やすい。さらにAtom搭載機なんかよりもはるかにキビキビ動くのだ。それでいて重さもDell Mini9と同じ様な重さとくれば、かなりココロが揺れ動きました。ああ、値段も$399から450くらいの範囲なので、Mini9を直してまたあの鈍重な操作を強いられるくらいならば、CULVノートに投資すべきでは?とゆーことで購入を決意した。

 そんなこんなで目についたのがGatewayのEC1400/1800シリーズ。日本だとCeleron SU2300というデュアルコアのCPUが搭載されている機種が売っているのだが、ここ米国ではCeleron ULV 743というシングルコアのCPU搭載機が似たような値段で出回っていた。たしかにSU2300搭載機も売っているのだが、まだ値崩れがしていなかったので、ここは苦渋の決断。ちょっと前のモデルでEC1805uというCore2 Solo SU3500を搭載している機種が結構、安い値段で出ていたので購入することに。まあこちらもシングルコアだけど、Core2の名前が付いているのだからCeleronよりは高性能なハズということだ。それに持ち運びようだから、あんまり重いタスクはないと思うんだよね。実際、Celeron ULV 743搭載機も店頭でさわった限りだけど、Atom搭載機よりはるかにキビキビ動いていたから。

Alice_mobile.jpgAlice_mobile_top.jpgAlice_mobile_keyboard.jpg
まずは見た目話題の平たいKB
Alice_mobile_side01.jpgAlice_mobile_side02.jpgAlice_mobile_desktop.jpg
両サイドの端子類現状のデスクトップ画面


 写真のように赤いのを選んだのはシャア専用だから。というのは冗談で自宅のWin7(64bit)機シャア専用だから(くどい?)。USBは3つで、VGAとHDMIがそれぞれ一つずつ。あと、マイクとヘッドフォン端子にギガビットイーサーネットかな。メモリカードリーダーも搭載しているな。LCD上部にはカメラが搭載されていました。まあ、最近のフツーのネットブック構成だわな。あとBT(Bluetooth)搭載だと思ったのだけど、デバイスマネージャーでは認識されていなかったので、無いのか初期不良なのか......まあこのPCでBTを使うことはなさそうなのでよしとする。(もし初期不良ならば、元米国のメーカーらしいにゃ)

 購入したPCはVistaがプレインストールされていたのだが、キャンペーン中ということでWindows7に無料でアップグレードできるとのこと。これは迷わずWindows7にアップグレードした。(Vistaでもそれなりに動いていたけれども、一度、Win7がイイとわかるとねぇ......)ちなみに年末にオーダーして届いたのが七草明けくらい。そのあとWin7のアップグレードディスクをオーダーして、届いたのが2週間以上経ってからかな?まあ環境を整えるのに1月近くかかった計算になるね。

 さて恒例のベンチマークをとってみましたので、CULVノートの購入予定の方は参考にでもしてくだされ。

PC nameMobile-AliceAlice7Alice6Lab-Alice2
Operating SystemWindows7 Home (32bit)Windows7 Home (64bit)Windows XP Home (32bit)Windows XP Pro (32bit)
CPUIntel Core2 Solo SU3500AMD Athlon64 2X 3800+AMD Athlon64 2X 4200+Intel Core2 Duo T7800
frequency (GHz)1.42.02.22.6
memory (GB)2.03.03.02.0
GPUIntel GS45AMD Radeon HD3870OCATI Radeon X800ProNVIDIA Quadro FX1600M
ゆめりあ(それなり)6628(51)25328(168)42619(130)69828(181)
FF bench1453(3)3269(14)4414(43)7447(8)
3DMark6577649213955321
CPU644129915242230
SM2.018126456692205
SM3.02333661N/A2018



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【2010/02/08 19:22】 | コンピュータ
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 一昨日くらい、日本にいる母から連絡があった。伯父が亡くなったとのことだ。そういうことなので葬式に出席してくるという旨の連絡であった。そのちょっと前に従兄弟の娘さんが母の住んでいる吉祥寺に滞在していたそうな。なんでも就活のために上京したらしい。(ワタシの記憶ではその子に最後に会ったのは、彼女がまだ小学生かそこらの頃だから、もう全然ちがうんだろうな)彼女からは祖父にあたる人なので、たぶん実家に帰るとは思うのだけれど。米国滞在中に彼を含めて2人、亡くなった。今回は母方の伯父なのだが、東海岸にいた頃に父方の伯父も亡くなっている。まあどちらも高齢ではあったので、まわりは覚悟していたみたいだけどね。

 閑話休題。

 ブログもめっきり停滞しているのだが、たまには何か書こうか。ここ数日はタンパク質の精製をしている。電気化学測定で必要なのだ。精製は意外と大変。ざっと過去のエントリを眺めてみると精製について書かれていないので、簡単に書いてみる。まあ備忘録なので、興味のない方はスキップ、すきっぷぅ~♪


 まず宿主であるAchromobacter cycloclastesはベータプロテオバクテリアに属するグラム陰性好気性桿菌だそうな。こいつにブロードレンジベクターpML10にnosクラスタという亜酸化窒素還元酵素(およびその生合成に付随するタンパク質群)をコードしている遺伝子を組み込んだコンストラクトで形質変化させたものから亜酸化窒素還元酵素を精製する。

 基本的に培養は簡単。用いているプラスミドにはゲンタマイシン(抗生物質の一つ。バクテリアをよく殺してくれますが、高い腎毒性をもつそうで取り扱いには注意!)耐性遺伝子をもつので、こいつを培地に入れて育てることで、このコンストラクトのみをもつAchromobacterが育つという具合。さらに大腸菌と同様に、育てるのに手がかからないというのもいいね。

 培養は寒天培地で二晩、液体培地で一晩くらい。通常は寒天培地に植え付けて30℃で二晩、そのあとシングルコロニーを2mL(X4)の液体培地に移して終夜で振とう。そのあとこの4つの培養液を200mLの液体培地に移して7時間ほど振とう。最後に2L(X4)に培養液を移してやはり終夜で振とう。そのあと硫酸銅水溶液と硝酸カリウム溶液を加えて、振とう速度を落として終夜。ここから得られる菌はたいていベージュか少し青みがかかったもの(野生株は赤くなる)。だいたい8Lの培養液からは35gほどの菌体が得られる。ちなみに亜酸化窒素還元酵素は10gの菌体から10mg程度。

 精製は4つのカラムを使ったクロマトグラフが基本。Achormobacter由来の亜酸亜窒素還元酵素はナゼか空気(主に酸素)に不安定なので、すべて還元雰囲気で精製を行う。菌体の破壊(細胞壁の破壊)はFrench Pressという何かの拷問器具みたいなやつをつかう。これで約7000psi(大気圧の約500倍)の圧力をかける。この操作をワタシは3回繰り返すかな。

 得られた溶菌液は超遠心器で約1時間ほど、4℃で真空状態、毎分4万5千回転で回す。上澄みはたいてい緑色。(もしそうじゃなければ、なにかがオカシイ)上澄みを最初のカラム、DEAE(ジエチルアミノエチル基が樹脂に担持されたもの)にロード。このカラムはトリス塩酸緩衝液(トリスはトリスヒドロキシメチルアミノメタンで、これを塩酸をつかって目的pHに調整した緩衝液、ここでは室温でpH8.0)で平衡化(カラムに緩衝液を入れたときと出てくるときのpHや伝導率が一致した状態)。塩(塩化ナトリウム)で塩濃度を徐々に濃くして、目的タンパク質を溶出させる。亜酸化窒素還元酵素の場合は還元雰囲気である限りは空色なので、カラムから出てくるタイミングを見極めやすい。

 得られたタンパク質はただちに短いバージョンのDEAEカラムにロード(これもトリス塩酸で平衡化)。タンパク質を全部ロードしたら、カラムを逆さまにして高塩濃度緩衝液で溶出させる。まあある意味、濃縮だね。

 得られたタンパク質はさらに、MonoQカラム(GEヘルスケア製品で、MonoBeads、高性能液体クロマトグラフィー用の単分散系親水性ポリマービーズに4級アミンを担持させた強陰イオン交換カラム)にロード。カラムにタンパク質を吸着させた状態で、pHを8から6.5におとし、そのままのpHで塩濃度を徐々に上げて溶出。得られたタンパク質はただちに限外濾過(ある特定の分子量以下のものを透過させるフィルターを用いた濾過)で濃縮アンド脱塩処理。

 最後はアフィニティカラム(高親和カラムとでも言おうか?)にタンパク質をロード。亜酸化窒素還元酵素はチトクロムcと結合親和性があるので、チトクロムcを樹脂に担持したカラムを用いて分離する。これも一度、タンパク質をカラム内に吸着させてから、高塩濃度緩衝液で溶出させる。


 このような処理を2日で行うので、冬場は手が荒れるのね。基本的に水仕事だしね。それを金曜までやって、ただちに昨日からは別のタンパク質の精製を行っております。だから手の甲はちょい出血してきたポ......

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【2010/02/07 13:18】 | 研究
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cooyou
こてくん、久しぶりぃ

うん、カラムは赤いよ。しかも亜ジチオン酸ナトリウムの入った緩衝液を流すと色がオレンジに近くなるから、担持されていてもヘムの酸化還元能は保持されているね。

くっつくかどうかは、まあこてくんも考えているように条件の違いだろうね。ちなみにこちらではpH8.0の20mM トリス塩酸緩衝液で平衡化している。溶出はリニアグラジエントのかなり初期の段階から始まってるから、あんまり強い結合ではなね。


こて
>チトクロムcを樹脂に担持したカラム

なんと、カラムは真っ赤っかですか??
そんなにべったりくっ付くもんですかね?
小スケールでニッケルカラムにNIRくっつけてからCyt c流しても全くくっつきませんでしたわ。
条件の違いか・・・・・・

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