米国けんきゅうにっき 「銀の鍵の門を越えて」
学位取得後、研究者として米国へ。このさきどのようなことが待ち受けているのでしょうか?
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 さていろいろとあって時間があいてしまったが、先日購入した日本のホラーDVDの感想などでも紹介しよう。まず印象だが、昔テレビで放映されていた「あなたのしらない世界」とかタモリがストーリーテラーの「世にも奇妙な物語」のような雰囲気で、あんまり怖いという感じではなかった。どちらかといえばなんとなく昔日の郷愁というかなんというか、懐かしさがこみ上げてきたな。それに久しぶりに日本の光景を見ることができてなんだか嬉しかった。
 このDVD自体はオムニバスで、「クモ女」、「大生首」、「すきま」、「金髪怪談」、「予感」の5編で構成されており、ちょっとの時間で観ることができるというお手軽感がある。とくに最後の「予感」はなんとなく感じるモノがあった。それと「大生首」に出てくる山田優がなんとなくよかったな。
 まあそんな感じで「Amityville Horror」の様なショッキングなハナシではないので、恐がりのヒトにもオススメです。

 さて今日はさらにホラーのお話でもしようかな。といってもワタシが好きだった小説のお話。小説と言っていいのだろうか?この作品群はちょっと特殊な進化形態をもつので。

そは永久に横たわる死者にあらねど
測りしれざる永劫のもとに死を越ゆるもの
ルルイエの館にて死せるクトゥル-夢見るままに待ち至り


 この文言をみて気がつく方も居られるのではないだろうか?1920年代にアメリカ東部、ニューイングランド地方で執筆活動をしていたHoward P. Lovecraftの小説、「The Call of Cthulhu(クトゥルーの呼び声)」の一節である。世界中に根強いファンがおり、このラヴクラフトを師として仰いだ作家たちが一つのコミュニティを築きあげたのだ。
 彼の小説に散りばめられた独特の世界観に共鳴して、数多くの作家たちがこの世界観を元に小説を書いてきた。映画「サイコ」で有名なロバート・ブロック(Robert Bloch) 、詩人でもあるアンブローズ・ビアス(Ambrose Bierce) や、英国の作家、コリン・ウィルソン(Colin Wilson) 、近年比較的著名なスティーヴン・キング(Stephen King) 、日本では「帝都物語」などの荒俣宏などがこの世界観(これをクトゥルー神話体系と呼ばれている)を元に作品を世に送り出してきている。そのなかでもラヴクラフトの高弟の一人であった、オーガスト・ダーレス(August Derleth) はこのクトゥルー神話体系を現在の形に仕立て上げた立て役者であったといっても過言ではないであろう。

 そういった成立の経歴をもつクトゥルー神話体系であるが、いわゆるcosmic horror(あえて和訳すれば深宇宙的恐怖?)であり、かつて宇宙の覇権を握っていた"旧支配者"なる強大な存在が人間に与える恐怖を綴ったものである。そしていわゆる"神(旧支配者)"と呼ばれる存在が必ずしも人間に対して友好的ではないということを常に暗示させているのが特徴だ。

 上記のラヴクラフトのコンセプトと対照的にダーレスのプロットというものがある。いわゆる上記の"旧支配者"と同等以上の存在(旧神)を登場させ、かれらの覇権の争いの結果、クトゥルーをはじめとする"旧支配者"は宇宙の各地に幽閉・追放されるも、復活の刻を虎視眈々と狙っているというもの。それに付随して人間が恐怖を体験するというもので、恐怖小説というよりも冒険小説に近い。ただラヴクラフトはこういった自分の創作した"かわいい"子供たちが迫害されるのを好いてはいなかったようである。(これはワタシの感想。正確には彼はそういった存在を愛でていたということだ。)

 さてワタシが好きなラヴクラフトの小説は三編ある。まずは「狂気山脈」。

南極大陸の奥深く、ヒマラヤすら圧する未知の大山脈が連なる禁断の地にミスカトニック大学探検隊が発見したもの。それは地球が誕生してまもないころ他の惑星より飛来し、地上に生命をもたらした"旧支配者"の化石と、超太古の記憶を秘めた遺跡の数々だった!やがて一行を狂気と破滅の影が覆ってゆく・・・


 そして「未知なるカダスを夢に求めて」。

怪奇小説の世界に壮麗な大伽藍を築いた鬼才ラヴクラフト。本巻には、作者の分身たるランドルフ・カーターを主人公とする一連の作品、および、それと密接に関わる初期のダンセイニ風掌編を収録し、この稀有な作家の軌跡を明らかにする


 最後は本エントリのタイトル、「銀の鍵の門を越えて」である。

 そう彼の小説には何か"愛"が感じられた。それがたとえ"恐怖"を扱った小説だとしても。たぶんは今でも彼方を飛翔しているのだろうか。

 ところでこちら米国ではこのラヴクラフトの小説が比較的容易に手に入る。たとえば全米チェーンのBordersなんかでもペーパーバックが置いてあるので、ワタシには天国だ。日本ではなかなか手に入らないからね。

【2005/12/21 11:51】 | 書籍紹介
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