米国けんきゅうにっき 雪降る中での瞑想
学位取得後、研究者として米国へ。このさきどのようなことが待ち受けているのでしょうか?
 今週から実験を再開する。論文の方の区切りがついたためだ。リハビリもかねて以前、途中まで精製して凍らせたタンパク質のさらなる精製を行うことに。これは懸案中の阻害剤の論文のために必要なのだ。その合間にお昼ご飯。今日のお昼は先日、作ったミートローフとご飯にブロッコリーを詰め込んでランチボックスとしたものだ。


 某所のコメントでふれたのだが、私は今の日本があまり好きではない。理由はなんなのかとちょっと考えてみた。元々、私は東京生まれで其処で27年間を過ごしてきた。その間、海外にはまったく興味がなくて、外国に働きに出るどころか、自発的に旅行すら行こうと思ったこともなかった。一つにはやはり日本は恵まれていたためだと思う。その当時の日々の生活を失うことが厭だったのであろう。

 博士課程修了後、多くの博士は就職ないしはポスドク(博士研究員)というテンポラルの職に就く。特にアカデミアの職業を目指すのならば、海外経験を重視するという風潮が日本にはあった。もちろん教授職というのは限られた数しかなく、さらに私は第二次ベビーブーム世代になるため、その競争率は当時の私の受験戦争以上である。だから必ずしも海外でのポスドクを経験するということは悪いことでは無かったのだが、だからといって日本に帰ってこられるという保証もないものである。特に日本の学術振興会のサポートを受けていない場合、さらに帰ることの出来る機会は狭まると言って良いであろう。実際、この5年を経て私も多くの米国で暮らしていこうと決心した日本人研究者を見てきた。
 
 話しを戻すと、まずいまの日本を好きになれない自分というのは、まずその雇用機会からくるのではないかと思っている。まあ一種の被害者妄想、もっと悪く言えばひがみだ。でも自分で決めたのだし、これまでもずいぶんと甘えた生活をしてきたということもあるので、これもまた自業自得。だからココロの中では(自身の"ひがみ")を感じていても、声高には言えない、みっともないから。(まあここでこのように書いているから、十分みっともないのだが......)

 もっと即物的な面で日本を好きになれないことを考えてみよう。まず思うのは東京のヒトたちはおおむね友好的ではない。アメリカでは挨拶なんかは本当に自然に出てくるし、教会に行けばいろいろな人たちが助けてくれる。育児のことだって、おそらく昔の日本の"ムラ"組織の様に助け合っているし、これが米国の出生率の高さにも反映されているのだと思う。一方で、人々は程良くドライで一定の距離を置いてくれる。これはおそらく私にとって程良く心地よい"距離"なのだ。もちろん良い側面ばかりではない。未だに人種差別は根強く残っている部分もあるし、治安だってこのボーズマンを離れれば良くないところも少なくない。これらの因子をどう思うのかはやはり個人差があると思うし、それを私は自分で受け入れただけだと思う。

 私が日本から離れて5年半たち、多くは変わっていったと思う。特に今回の3週間半の滞在で、それは切に感じられた。たとえば表層的な話しになるが、携帯電話の進歩と普及は私からみればすでに常軌を逸していると思った。あくまで個人的な意味においてだが、電車に乗って車内を見回すとみんな携帯を持ってゲームをしたりテレビを見たりして同じ様なことをしている。これははっきり言って異様な雰囲気だ。またネットをみれば、やれケータイやPCの新機能だの、今のITガジェットの何が不便だのと、或る意味、我が儘言いたい放題のことが書かれている。ニュースを見ると不穏なニュースがにぎわいを見せていたり、くだらない毒電波を流していたり。あんまり建設的な側面を捉えられない。これはある種の同族嫌悪であろうか?それでもこの状態は日本であり、私も日本人だ。だからこれらの現状を受け止めなければならないのだと思う。それがちょっと悲しかったのだろう。(以前のエントリでメイド喫茶とか行って楽しんでいるくせにと思われるかもしれないが、まあそれなりに楽しんでもきたけどね)

 逆に田舎はいいとも思う。私の記憶にある多くがまだ残っているし、時間の流れも穏やかに感じる。つまり私の今回の日本に対する印象は主に東京のものなのだろう。郊外や田舎にはさして悪い印象は無かったし、あれらの風景はちょっと心洗われたと思う。それがよりいっそう東京の悪印象を引き立て、さらには自分の生まれた場所ということも加味され、とっても悲しい気分になったのだろう。

 最後に私は5年半前、日本を発つとき、ある強い決意を持った。そしてこれまで米国で暮らしてきた。これらの時間はかけがえのないものだと自負している。そして約1年前、ある後輩にその時間が無意味であるような発言をされたことがある。この強い否定は私をより強固な決意に駆り立てるに十分であった。そしてそれが或る意味、意固地になっているのかもしれない。もちろん私の今の研究生活は充足しているし、すべてに於いて日本でのそれよりも幸せだと感じる。だから後悔は一切していない。

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【2007/03/02 06:05】 | 生活
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どーいたしまして
cooyou
kottieさま、コメントありがとうございますね。それに応援していただいてありがとうございます。なんだかとってもうれしいです。この間の帰国でも友人たちに「いつ世界征服するの?」とか「世界征服でググっても、まだcooyouの名前出てこないじゃん。毎日、チェックしてるんだよ」とアホなエールをいただいております。そんなのと較べれば雲泥の差、月とすっぽんですね!

 さてご指摘の様に日本の田舎の田舎ですね~。私は6年前に大分の片田舎で暮らしていたことがあるのですが、其処には1年しか居らずほとんど、ラボにこもっていたのでちょっと実感が湧きません。(あっ、でもこれがまさにこのことですか。)でもおそらくおっしゃる通りのことがおこっているのでしょうね。ただ、それでもその田舎での生活はそんなに厭ではなかったですね。(当時は職場の方に問題があったので、自宅でグッタリしている時間が至福のときでした)

 ところで日本に帰ってひとつ嬉しかったことがあります。それは何人かの友人たちに「cooyouは相変わらず元気だね。自分ももっと見習わなくっちゃ」とか言ってもらえたこと。こんな言葉がもらえるから、異郷でもがんばっていけるんだと再確認させられました!

 それではまたたびたびブログの方、訪れさせていただきます!

cooyou

ありがとうございます
kottie
cooyouさま、一方的なリクエストに応えていただいて、ありがとうございます~♪

やっぱ日本はまだまだ採用のときには純粋培養の方を好むのでしょうか。企業への就職も、帰国学生は不利って話を聞いたこともありますし。でもそんなことだったら、視野を広く持ったデキる人はどんどん出て行く一方になりそうですね・・・T-T 頭脳流出は、結構危惧すべきことですよね?もちろん人それぞれに人生があるので、帰ってこないことを選択することだって全然ありだとは思うのですが(だからcooyouさんのことは応援してます!←何だか偉そうな物言いですね。訂正。こっそり応援させていただいております!)

アメリカ人の友好的なところは私も好きです!日本人付き合いづらい!ってしばしば思います。そして、道行く人に何気に話しかけそうになって、変な目で見られたりしてます・・・

でも私、思うんですが、東京はまあちょっと別物として、日本の地方都市はまだましな状態だと思うのですが、やばいのはむしろ田舎かなと。でっかいスーパーがででんっとあって、買い物は全部そこで済ませられて、当然車がなくては生活できなくて(要するにとってもアメリカンスタイルですねえ・・・)、都市にいるのと変わりない物が手に入るけれども、その地域に根付いていた文化とかはどんどん衰退していく一方で新しいものは生まれないから、ほっとくと精神的にとても貧しくなりかねないような気がしてならないのです・・・しかもアメリカと違って小さな国だから、比較的容易に大都市に遊びに(仕事に)いけちゃう・・・となると、ますます地元はただ寝に帰るだけの場所になりはしないかと・・・田舎に帰省するたびにどんどん哀しくなっていくのです。かといって私もそこにUターンする予定は無いので、なんとも身勝手なことを言っているだけなのですが。

長々とまとまらないことをすみません。
ご研究がんばってください。

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この記事へのコメント
どーいたしまして
kottieさま、コメントありがとうございますね。それに応援していただいてありがとうございます。なんだかとってもうれしいです。この間の帰国でも友人たちに「いつ世界征服するの?」とか「世界征服でググっても、まだcooyouの名前出てこないじゃん。毎日、チェックしてるんだよ」とアホなエールをいただいております。そんなのと較べれば雲泥の差、月とすっぽんですね!

 さてご指摘の様に日本の田舎の田舎ですね~。私は6年前に大分の片田舎で暮らしていたことがあるのですが、其処には1年しか居らずほとんど、ラボにこもっていたのでちょっと実感が湧きません。(あっ、でもこれがまさにこのことですか。)でもおそらくおっしゃる通りのことがおこっているのでしょうね。ただ、それでもその田舎での生活はそんなに厭ではなかったですね。(当時は職場の方に問題があったので、自宅でグッタリしている時間が至福のときでした)

 ところで日本に帰ってひとつ嬉しかったことがあります。それは何人かの友人たちに「cooyouは相変わらず元気だね。自分ももっと見習わなくっちゃ」とか言ってもらえたこと。こんな言葉がもらえるから、異郷でもがんばっていけるんだと再確認させられました!

 それではまたたびたびブログの方、訪れさせていただきます!

cooyou
2007/03/05(Mon) 14:42 | URL  | cooyou #GH1R4l52[ 編集]
ありがとうございます
cooyouさま、一方的なリクエストに応えていただいて、ありがとうございます~♪

やっぱ日本はまだまだ採用のときには純粋培養の方を好むのでしょうか。企業への就職も、帰国学生は不利って話を聞いたこともありますし。でもそんなことだったら、視野を広く持ったデキる人はどんどん出て行く一方になりそうですね・・・T-T 頭脳流出は、結構危惧すべきことですよね?もちろん人それぞれに人生があるので、帰ってこないことを選択することだって全然ありだとは思うのですが(だからcooyouさんのことは応援してます!←何だか偉そうな物言いですね。訂正。こっそり応援させていただいております!)

アメリカ人の友好的なところは私も好きです!日本人付き合いづらい!ってしばしば思います。そして、道行く人に何気に話しかけそうになって、変な目で見られたりしてます・・・

でも私、思うんですが、東京はまあちょっと別物として、日本の地方都市はまだましな状態だと思うのですが、やばいのはむしろ田舎かなと。でっかいスーパーがででんっとあって、買い物は全部そこで済ませられて、当然車がなくては生活できなくて(要するにとってもアメリカンスタイルですねえ・・・)、都市にいるのと変わりない物が手に入るけれども、その地域に根付いていた文化とかはどんどん衰退していく一方で新しいものは生まれないから、ほっとくと精神的にとても貧しくなりかねないような気がしてならないのです・・・しかもアメリカと違って小さな国だから、比較的容易に大都市に遊びに(仕事に)いけちゃう・・・となると、ますます地元はただ寝に帰るだけの場所になりはしないかと・・・田舎に帰省するたびにどんどん哀しくなっていくのです。かといって私もそこにUターンする予定は無いので、なんとも身勝手なことを言っているだけなのですが。

長々とまとまらないことをすみません。
ご研究がんばってください。
2007/03/04(Sun) 06:49 | URL  | kottie #-[ 編集]
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