米国けんきゅうにっき タンパク質の連続精製など
学位取得後、研究者として米国へ。このさきどのようなことが待ち受けているのでしょうか?
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 一昨日くらい、日本にいる母から連絡があった。伯父が亡くなったとのことだ。そういうことなので葬式に出席してくるという旨の連絡であった。そのちょっと前に従兄弟の娘さんが母の住んでいる吉祥寺に滞在していたそうな。なんでも就活のために上京したらしい。(ワタシの記憶ではその子に最後に会ったのは、彼女がまだ小学生かそこらの頃だから、もう全然ちがうんだろうな)彼女からは祖父にあたる人なので、たぶん実家に帰るとは思うのだけれど。米国滞在中に彼を含めて2人、亡くなった。今回は母方の伯父なのだが、東海岸にいた頃に父方の伯父も亡くなっている。まあどちらも高齢ではあったので、まわりは覚悟していたみたいだけどね。

 閑話休題。

 ブログもめっきり停滞しているのだが、たまには何か書こうか。ここ数日はタンパク質の精製をしている。電気化学測定で必要なのだ。精製は意外と大変。ざっと過去のエントリを眺めてみると精製について書かれていないので、簡単に書いてみる。まあ備忘録なので、興味のない方はスキップ、すきっぷぅ~♪


 まず宿主であるAchromobacter cycloclastesはベータプロテオバクテリアに属するグラム陰性好気性桿菌だそうな。こいつにブロードレンジベクターpML10にnosクラスタという亜酸化窒素還元酵素(およびその生合成に付随するタンパク質群)をコードしている遺伝子を組み込んだコンストラクトで形質変化させたものから亜酸化窒素還元酵素を精製する。

 基本的に培養は簡単。用いているプラスミドにはゲンタマイシン(抗生物質の一つ。バクテリアをよく殺してくれますが、高い腎毒性をもつそうで取り扱いには注意!)耐性遺伝子をもつので、こいつを培地に入れて育てることで、このコンストラクトのみをもつAchromobacterが育つという具合。さらに大腸菌と同様に、育てるのに手がかからないというのもいいね。

 培養は寒天培地で二晩、液体培地で一晩くらい。通常は寒天培地に植え付けて30℃で二晩、そのあとシングルコロニーを2mL(X4)の液体培地に移して終夜で振とう。そのあとこの4つの培養液を200mLの液体培地に移して7時間ほど振とう。最後に2L(X4)に培養液を移してやはり終夜で振とう。そのあと硫酸銅水溶液と硝酸カリウム溶液を加えて、振とう速度を落として終夜。ここから得られる菌はたいていベージュか少し青みがかかったもの(野生株は赤くなる)。だいたい8Lの培養液からは35gほどの菌体が得られる。ちなみに亜酸化窒素還元酵素は10gの菌体から10mg程度。

 精製は4つのカラムを使ったクロマトグラフが基本。Achormobacter由来の亜酸亜窒素還元酵素はナゼか空気(主に酸素)に不安定なので、すべて還元雰囲気で精製を行う。菌体の破壊(細胞壁の破壊)はFrench Pressという何かの拷問器具みたいなやつをつかう。これで約7000psi(大気圧の約500倍)の圧力をかける。この操作をワタシは3回繰り返すかな。

 得られた溶菌液は超遠心器で約1時間ほど、4℃で真空状態、毎分4万5千回転で回す。上澄みはたいてい緑色。(もしそうじゃなければ、なにかがオカシイ)上澄みを最初のカラム、DEAE(ジエチルアミノエチル基が樹脂に担持されたもの)にロード。このカラムはトリス塩酸緩衝液(トリスはトリスヒドロキシメチルアミノメタンで、これを塩酸をつかって目的pHに調整した緩衝液、ここでは室温でpH8.0)で平衡化(カラムに緩衝液を入れたときと出てくるときのpHや伝導率が一致した状態)。塩(塩化ナトリウム)で塩濃度を徐々に濃くして、目的タンパク質を溶出させる。亜酸化窒素還元酵素の場合は還元雰囲気である限りは空色なので、カラムから出てくるタイミングを見極めやすい。

 得られたタンパク質はただちに短いバージョンのDEAEカラムにロード(これもトリス塩酸で平衡化)。タンパク質を全部ロードしたら、カラムを逆さまにして高塩濃度緩衝液で溶出させる。まあある意味、濃縮だね。

 得られたタンパク質はさらに、MonoQカラム(GEヘルスケア製品で、MonoBeads、高性能液体クロマトグラフィー用の単分散系親水性ポリマービーズに4級アミンを担持させた強陰イオン交換カラム)にロード。カラムにタンパク質を吸着させた状態で、pHを8から6.5におとし、そのままのpHで塩濃度を徐々に上げて溶出。得られたタンパク質はただちに限外濾過(ある特定の分子量以下のものを透過させるフィルターを用いた濾過)で濃縮アンド脱塩処理。

 最後はアフィニティカラム(高親和カラムとでも言おうか?)にタンパク質をロード。亜酸化窒素還元酵素はチトクロムcと結合親和性があるので、チトクロムcを樹脂に担持したカラムを用いて分離する。これも一度、タンパク質をカラム内に吸着させてから、高塩濃度緩衝液で溶出させる。


 このような処理を2日で行うので、冬場は手が荒れるのね。基本的に水仕事だしね。それを金曜までやって、ただちに昨日からは別のタンパク質の精製を行っております。だから手の甲はちょい出血してきたポ......

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【2010/02/07 13:18】 | 研究
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cooyou
こてくん、久しぶりぃ

うん、カラムは赤いよ。しかも亜ジチオン酸ナトリウムの入った緩衝液を流すと色がオレンジに近くなるから、担持されていてもヘムの酸化還元能は保持されているね。

くっつくかどうかは、まあこてくんも考えているように条件の違いだろうね。ちなみにこちらではpH8.0の20mM トリス塩酸緩衝液で平衡化している。溶出はリニアグラジエントのかなり初期の段階から始まってるから、あんまり強い結合ではなね。


こて
>チトクロムcを樹脂に担持したカラム

なんと、カラムは真っ赤っかですか??
そんなにべったりくっ付くもんですかね?
小スケールでニッケルカラムにNIRくっつけてからCyt c流しても全くくっつきませんでしたわ。
条件の違いか・・・・・・

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この記事へのコメント
こてくん、久しぶりぃ

うん、カラムは赤いよ。しかも亜ジチオン酸ナトリウムの入った緩衝液を流すと色がオレンジに近くなるから、担持されていてもヘムの酸化還元能は保持されているね。

くっつくかどうかは、まあこてくんも考えているように条件の違いだろうね。ちなみにこちらではpH8.0の20mM トリス塩酸緩衝液で平衡化している。溶出はリニアグラジエントのかなり初期の段階から始まってるから、あんまり強い結合ではなね。
2010/02/15(Mon) 23:22 | URL  | cooyou #GH1R4l52[ 編集]
>チトクロムcを樹脂に担持したカラム

なんと、カラムは真っ赤っかですか??
そんなにべったりくっ付くもんですかね?
小スケールでニッケルカラムにNIRくっつけてからCyt c流しても全くくっつきませんでしたわ。
条件の違いか・・・・・・
2010/02/15(Mon) 08:17 | URL  | こて #6mhiDe5.[ 編集]
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