米国けんきゅうにっき 嫌気下作業用チャンバー
学位取得後、研究者として米国へ。このさきどのようなことが待ち受けているのでしょうか?
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 今日は朝から青いタンパク質の精製。

 先々週のボスとの議論で、どうやらある還元剤が電気化学実験において阻害作用を与えているのではという仮説に至った。たしかにいくつかの兆候はあったのだ。この青いタンパク質と触媒量の酵素を電気化学セルに入れて基質を導入した状態で電気化学測定をすると、大きな電流値が観測される。しかしこれに上述の還元剤を加えると電流値が激減するのだ。

 さてなんでこんなことをやっているのか?というのは、この間リジェクトを喰らった論文に対するレフリーのコメントで活性化された酵素を使わないのはなぜよ?とゆーものがあった。活性化の手法自体はすでに既報なので、たしかにこのコメントはリーズナブル。しか~し、そのコメントに回答するために、この酵素を活性化して上記と同様の電気化学測定を行っても、大きな電流値が観測されないのである。

 その原因をボスと議論していたわけ。この酵素を活性化するためにこの還元剤を加えるのだが、当然、PD-10カラム(Sephadex G25)で過剰量の還元剤を除去してから同様の電気化学実験を行う。しかし結果は上のパラグラフに書いたとおり。つーことは、可能性の一つとして還元剤が非常に強く酵素と結合しているため、PD-10では除去しきれず電気化学実験にも影響を与えるのではないだろーか?と。そーいうわけでその還元剤の濃度と阻害作用の相関を調べることになったのである。その矢先に下の階のサイクリックボルタモグラフィー(電気化学測定装置)がぶっ壊れた。まあちょっとは気楽にいけよとゆー天の声なんだろーか......


 ああちなみに上の酵素の活性化は当然、嫌気下で作業しなければならない。話はちょっと前後するのだが、私は元々は合成系の研究をしていた。だから嫌気下での作業には慣れている。おもしろいのは日本ではシュレンク管という特殊なガラス器具で作業していたのだが、ここ米国ではグローブボックスという不活性ガス(主に窒素、たまにアルゴン)を充填したグローブ付きの箱の中で作業を行う。まあ文化の差かね?

 さらにおもしろいのは合成用のグローブボックスと生化学用のそれはちょっと違うのだ。前者は窒素あるいはアルゴンガスを触媒管で循環させて水分および残留酸素を除去する。だから触媒には酸化銅の粉末層をモレキュラーシーヴ層でサンドイッチ状態に充填されたものが使われる。ある程度、不活性ガスが循環すると当然、触媒は失活してしまうので、これを再生するために触媒管をグローブボックス内雰囲気から分離し、触媒内に低濃度の水素ガスを導入、温度を上昇させて活性化するわけ。これで余計な吸着した触媒上の溶媒やら酸化皮膜を除去することができる。

 一方、生化学用のグローブボックスは約3%の水素ガスが常に内部雰囲気に含まれている。ここにパラジウムとモレキュラーシーヴを触媒として導入しており、酸素が入ると内部雰囲気の水素とパラジウム触媒が反応して水分子になるわけ。気になるのはではなぜモレキュラーシーヴが必要なのかだが、これは雰囲気中の余剰水蒸気を除くためと理解している。(だってタンパク質とか緩衝溶液に溶けてるし~)

 まあこの生化学用グローブボックス内で活性化された酵素を分離するわけだ。カラムには当然、脱気した緩衝液を流すし、各緩衝溶液には場合によってはグルコースを入れておき、グルコースオキシダーゼとカタラーゼを導入して溶存酸素を除去する。まあ合成系とは別世界だな。でも笑気ガスはピロガロールのアルカリ性溶液で洗浄してから使っているから、この辺は合成の知識。

 そんなわけで、ちょっと実験の進捗状況はよろしくないねん。

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【2010/03/09 08:27】 | 研究
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cooyou
ここでは詳しく書かなかったけど、定常状態における吸光度変化は測定してあり、ちゃんとターンオーヴァーが回ることは確認してあります。

その上で、そのターンオーヴァーが反映されるはずの電流値が観測されないということで困ってます(´・ω・`;)ハァー・・・

まあ本文でも書いたように、なんらかの阻害作用があると考えるのが理にかなっているのではということで、その確認を行おうとした矢先にCVが壊れてしまいましたil||li _| ̄|○ il||li


こて
へー。
電流値が下がるってことは、単純にターンオーバーが遅くなってるってことですよね。
うちでやったときは、活性化したやつやと遅いってのは聞いたこと無い気がします。
うちでは定常状態の吸光度変化を追いかけたんで、その辺の違いかもしれませんが。

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この記事へのコメント
ここでは詳しく書かなかったけど、定常状態における吸光度変化は測定してあり、ちゃんとターンオーヴァーが回ることは確認してあります。

その上で、そのターンオーヴァーが反映されるはずの電流値が観測されないということで困ってます(´・ω・`;)ハァー・・・

まあ本文でも書いたように、なんらかの阻害作用があると考えるのが理にかなっているのではということで、その確認を行おうとした矢先にCVが壊れてしまいましたil||li _| ̄|○ il||li
2010/03/14(Sun) 11:51 | URL  | cooyou #GH1R4l52[ 編集]
へー。
電流値が下がるってことは、単純にターンオーバーが遅くなってるってことですよね。
うちでやったときは、活性化したやつやと遅いってのは聞いたこと無い気がします。
うちでは定常状態の吸光度変化を追いかけたんで、その辺の違いかもしれませんが。
2010/03/13(Sat) 22:19 | URL  | こて #6mhiDe5.[ 編集]
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