
さて先週の月曜日にタイトルにあるポスドクのための大学教育の集中講義(Postdoctoral Short-Course on College Teaching in Science and Engineering)の最終講義があった。ポスドク向けに8週間という期間の間に米国の大学におけるSTEM(Science, Techinolgy, Engineering and Mathematics)ティーチングの方法論を教えるというもので、ミシガン大学のCRLT(Center for Research on Learning and Teaching)が主催する講義である。基本的にポスドクという身分は授業をまともに教える機会がほとんどないので、ファカルティになった際に学部生向け講義の経験や講義の方法論などが欠けていることがほとんどである。まあ例外としてワタシのモンタナ時代の同僚は化学科の学科長に直談判して授業を受け持つ機会に恵まれていたが、ワタシ自身はそういうことはなかった。
そういうわけで、今のラボの同僚に誘われてこの集中講義の申請書を提出したのが8月のはじめだっただろうか。一応、書類審査があるらしく申請書には自分のティーチングポリシーや講義に参加することによる自分のゴールなんかのエッセイを書いた。その結果、9月の終わり頃に書類選考をパスして受講資格を得たわけである。
クラスの人数は32人で、たぶん8週間の間に2,3人はドロップしたと思う。この講義のCRLTが定めていたゴールはシラバスおよびTeaching Philosophyの完成である。またキャップストーンとして4週目および8週目に5分、15分それぞれのティーチングの実践が設定されていた。まあそれになにより毎週の宿題とリーディングアサインメントが半端ないくらい多かったので、ずいぶんとこの2ヶ月は毎週末が忙しかったため、妻には迷惑をかけたのである。
内容としては、結論としては受講して良かったと思っている。特にワタシの場合、米国で学位を取得していないので、米国の大学教育の現状をほとんど知らなかったので、ずいぶんと勉強になった。能動的学習(Active Learning)や探求学習(Inquiry-based Learning)などの用語はポスドクで研究のみ従事していただけだったら、触れる機会も無かったであろう。もちろん、日本の大学で教職課程をとっていれば別だったんだろうけれども。
ほかにも授業進行の方法論として、学生たちの講義内容の誤解や理解状況の分析、グループによるディスカッションやブレインストームなどの紹介はいずれも自分には新鮮な内容だった。こういった授業は少なくともワタシが学部生だったころには経験していなかったからね。
これらの講義をたたき台にしてリバイスしたTeaching Philosophyもずいぶん当初のものより良くなったと思う。Teaching Philosophyはどこの大学のファカルティ公募の際でも提出をほぼ要求されるからね。まあこの経験と知見を基によい職探しができれば良いのだが。
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